「今日、飲みに行きませんか?」



ひとつ下の後輩に
そんな事を言われたのは
時計の短針が
左を指してる頃だった……



「どこで飲むの?」

「いつものとこだよ、駅前の」

と答えたのは
僕のふたつ上の支木(ささき)さん

部署が違うが僕のとことの
連携した仕事が多いため、
顔見知りの先輩


僕とは最近、
仕事の連携が増えたので
ちょくちょく飲みに行くのだ


そうでなくても
仕事ができることで
彼は有名である


「すいません、
今日はちょっと
欠席させてもらいます」

「えーーーーーっ、
この前飲みに行くって
約束したじゃないっすか!!」



さっきの後輩が声を上げた



「今日はちょっと用事があるんだ
悪いけどまた今度ね」

「用事って何のですか?」

「プライベートだから内緒」

「何ですか、それ!
俺と先輩の仲じゃないっすか!!」

「いや、どんな仲?」


やや困り顔でいると


「先輩には
先輩の事情ってもんがあるんだよ
ほら、代わりに俺が付き合うから
どうせまた、
カノジョの愚痴だろ」

「どうせってなんすか!
どうせって!!」

「行和も早く帰れ、
用事あるんだろ」



どうやら
気を遣ってくれたらしい……

なら、お言葉に甘えて…



「はい、ありがとうございます
先に上がりますね」

「おう、お疲れ」

「あっ先輩!絶対!今度!!
約束ですからねーーー!!!」



後輩の懲りない誘いを聞きながら
僕はオフィスを後にした