車内の体感速度が遅くなる……
プシューー
外から生温い風が入ってきた
でも、閉めきっている車内では
それはとても心地いい……
そんな事を思いながらドアの方を見ると
車内に数人入って来た
まぁ、いつも通りの面子だな
と思っていると一人
見知らぬ顔が入ってきた
肩まで伸びた髪、
利発そうな顔立ち、
真新しい制服、
型がまだ残っている通学鞄、
新入生の格好なのに彼女自身は上級生のような印象を受けた
しかしそれ以外に何か違和感を覚えた
よく人間観察をする僕に備わった観察眼が[何か違う]と言っていた
ともかく、端的に言うと
彼女は目立っていた―
少なくとも僕にはそう見えた

