カタカタ……カタ……
終業時刻をとっくに過ぎ、時計の短針がほぼてっぺんを指した頃
「………やっと終わったーーーっ……」
おもわず
腕を伸ばし、伸びをする
遅刻をし、
開始時間が他より出遅れた僕に課せられた罰は
"残業"だった。
「しかも、
こういう時に限ってなんで
注文が多いんだよ……」
画面に映し出されている
やり終えたノルマに向かって、
呟いた
「お疲れ」
驚いて振り向くと
支木さんだった
手にはカップが2つ握られ、
その1つを僕に差し出した
「驚かさないでください!
誰かと思ったじゃないですか」
「ごめんごめん」
「支木さんも残業ですか?」
「うん、
ちょっと前に終わって
一服してから帰ろうと思ったら
見かけてさ」
「わざわざすいません」
「いいんだよ、
俺も飲もうと思ってたんだし」
もらったカップに口をつけた
「あれ?」
「あぁ、それコーヒーじゃなくて
ただのお湯」
「…?なんで…」
「お前、コーヒー苦手だろ」
……呆然としてしまった
「………支木さん」
「ん?」
「あなた、エスパーか何かですか?」

