子どもの時からの癖で
考え事をしてると
思っていることを口に出してしまう
中学に入って
これは迂闊な行動だと思いしり、
それ以来は
気を付けていたのだが…
気が抜けると
やっぱりやってるな…
ちなみに
愛想笑いのスキルも
中学の時に覚えた
やってしまったときの
緊急対処法として
自然に体に染み付いた
愛想笑いを浮かべながら
周りに軽く会釈していくと……
優先席にいる彼女が
こちらをずっと
見ていた
おもわず
僕も彼女を見つめ返す
すると、
こっちが見たのを
見計らったかのように
彼女の唇が動いた
「― ―― ― 」
「!」
僕は彼女を見つめたまま
固まってしまった
プシューー
ドアが開き、
彼女がホームへ
何事もなかったように
降りていった……
僕は彼女がいた
空っぽの座席をずっと
見つめていた……
その日、
会社に勤めて初、
会社の出欠が書かれたボードに
遅刻の文字が記された

