今日はホワイトデー、らしい。
「翔!帰ろう!」
机に顔を伏せて寝ていた俺に声をかけてきたのは...、梨乃。
いつもニコニコしていて...、俺の彼女。
「ん、帰るか」
立ち上がって梨乃の手を握ると、顔をほんのり赤くする。
そして、白くて細い手で、俺の手を握り返してきた。
...あーもう、何でこんなに可愛い反応するんだよ。
これ以上惚れさせるな。
「......ねぇ、今日どこか行かない?」
学校を出ると、梨乃が聞いてきた。
...ホワイトデーだからか?
「俺の家行くつもりだったけど」
「え、何で?」
キョトンとした顔で俺を見る梨乃。
......こいつ、ホワイトデー忘れてる。