ワックスと負けず劣らすカラフルで派手なパッケージが並んでいて、その列を指で指し選んでいる最中だった。


~♪


ケータイが鳴って、


着信:響輔


になっていた。


「うーっす。川上、無事に送り届けたか~?」


俺の意識はほとんどゴムに集中していたから響輔の返事なんてそれほど頭に入ってなかった。


『今どこです?』


低く聞かれて、


「今ー?ドラッグストア。ワックス買いに来てる」


今はゴムに夢中だけどな。


どれにしようかな……


あーもう、ケータイ邪魔。ケータイを肩と耳の間に挟んで片手にワックス、片手はゴムの列を彷徨っていたが、


『今行きます』


「来る??何でぇ?」


のんびりと答えた数秒後、ケータイを耳に当てたままの響輔が現れた。






「緊急事態です」






ケータイを耳に当てたまま、俺のすぐ傍で至極真剣そうに呟く響輔。


ち、近い、近い!


「緊急事態…って?」


俺もケータイに耳を当てたまま会話を繰り出し、至近距離に居るのに何故か通話状態な変な俺たち。


響輔……なんか動揺しまくってない??


通話を終えることも忘れてるし。






ははぁ、川上とナニかあったな。