変なの。
大好きな男の人があたしの家でごはん食べて、
そんでもって今はあたしのベッドに顔を伏せて眠っている。
よく教室で男子が居眠りしてる光景は目にする。
でもそれに対して何の感情もなかった。
だけど響輔さんの寝顔を見てると、
どうしようもなくドキドキする。
どれぐらいそうやって響輔さんの寝顔を眺めていただろう。
ヴーヴー…
響輔さんのジーンズでケータイが鳴ってる。
でもその振動にすら気付かず響輔さんは深い眠りの中。
疲れてるのかな。起き出す気配ゼロ。
だ、誰だろう…
もしかして朔羅かな。
帰りが遅くて心配してるかも。
そんな純粋な思いで響輔さんのジーンズからそぉっとケータイを抜き出すと、サブディスプレイに
着信:一結
の文字があった。
―――……
「いちゆい……いちゆうって言うのかな…」
字からして女の子っぽい。
すぐにはピンとこなかった。
着信がずっとあたしの手の中で鳴り響き、その音が一つ鳴るたびに
あたしの中で一つ一つの文字が浮かび上がり繋がった。
朔羅がよく「イチ」って言ってる。
その女の人は元モデルで女優の“you”
その二つの単語を合わせると
イチユウ
ドキン…
心臓が嫌な音を立てた。
何で……さっきまではあんなに楽しかったのに…あんなに幸せだったのに…
鳴り響くケータイの音が
あたしを言い知れない不安に陥れる。



