二人の言い合い…と言うか一結の怒鳴り声はヒートアップしていったが、その数分後
鴇田に電話が掛かってきて、その話し合いも中断された。
「イチ、話ならまた後で聞く。悪いが今は仕事中だ」
鴇田は冷たく言ってエントランスを引き返す。
「ちょっと!!」
一結はまだ言い足りないのか怒鳴り声を挙げていたが、やがて諦めたのか長い髪を揺らして石段を下りてくる。
赤い車の前の私とばっちり目があった。
一番最初に目を合わせたとき
彼女は
泣いていた。
大きな印象的な目から零れ落ちる一粒のしずく。その滴がきらり、太陽の光で反射してきらきらと光っていた。
「やぁ」
何と切り出していいか分からず、私が手を挙げると
「何よあんた。鴇田の舎弟……?には見えないけど」
一結はグイと乱暴に目元をぬぐいピっと車を開錠。
私の答えを聞かずして一結は運転席側に回り込むと、ドアを開けた。
私は車の天井に頬杖を突き反対側からその姿を眺めた。
「何よあんた。どいてよね」
二言目に聞いた言葉は
生意気だった。



