男がさらにぐいと銃口で私の肩を押し、私はその一瞬を見逃さなかった。
私は突きつけられた拳銃に素早く手を伸ばし、スライドを押さえると発砲できないようにして男の手ごと強く引いた。
一瞬のことで十朱 志紀子も、そして拳銃を突き付けていた男もその状態についてこられなかった。
私はスライドを握ったまま男から拳銃を奪い、男の手を捻ってその上から発砲した。
心臓を一発だ。
男が小さなうめき声を挙げその場に倒れ、次いでもう一人の男が私に向かって拳銃を構えるも
私の方が一足早かった。
十朱 志紀子の悲鳴が聞こえた。
私は男めがけて心臓に狙いを定め男を撃った。たった一発の弾は男の心臓を正確に撃ちぬいた。
男はあっけなく倒れ、俯きに倒れた体から血液がどんどん流れて絨毯に染みを作る。
「ルームキーパーが大変だ?」
私は苦笑を浮かべながら男たちの死を目視で確認すると、いよいよ十朱 志紀子に銃口の先を向けた。
「サイレンサー付きで良かったよ。
〝Yes”or〝No”?
答えは〝No”だ。
私は自分が納得した殺ししかしない
君は今、私を侮辱した。こんなボディーガード二人に殺られるほど私は間抜けではない」
そう言い切ると、十朱 志紀子は開いていた目をゆっくりと細めた。
こわばった肩に入った力もゆっくりと抜くと
「さすがね。腕は衰えてないようね。
あなたは一流だわ。
それを考えると龍崎と虎間をやれるのもあなたしかいないわね―――」



