バカらしい。


私は頭を振るとスマホを取り出した。


時間は夜中のAM2:14をさしている。


シャワーを浴びて少し何か食べて……それで病院に戻れば朝まで龍崎 朔羅の監視ができる。



頭の中でタイムテーブルを思い浮かべるも


脳内で秒針を回すことでさえも、何故だかぶれて頭の中でうまく思い描けない。


軽く頭を振ってもう一度スマホを見下ろす。


急がねばならない。


そう


私が考えるのはイチのことではなく私の作った薬で見事に変化を成し遂げてくれた朔羅のことだ。


何せ彼女は私の大切な大切な―――




お姫さまなんだから。




そうと決めると、私は慌ただしくシャワーを浴び、脱衣所に出ると鏡に自分の姿を映した。


後ろを振り向くと、背中に彫られた今の名前の紋が目に入り


私は思わず目を細め、口元がほころぶのが分かった。


私が体を捻ると鏡の中の私も体を捻る。腕をちょっと上げる鏡の中の私が同じ動作をする。






「うまくできたもんだよ。


なぁ白へび。






私たちは〝鏡”だ






君が動けば、私も動く―――





君は鏡の本当の意味に









まだ気づいていない







ゲームは私の勝ちだ










龍崎 朔羅は―――先に私が手に入れる―――」