AM2:00-都内某所


バタン!


私は自分のマンションの扉を乱暴に閉め、照明を落としたままの玄関口で思わずズルズルと座り込んだ。


軽く頭痛がする。


そんな意味で額を押さえる。





何だったんだ





「何だったんだ……さっきのは」





自分でも信じられない思いで独り言を漏らし、暗い部屋の中私は自分の手のひらを見つめた。


この手で触れた―――


一結の体に。肌に―――


その感触がリアルにまだ手のひらに残っている。


無理もない、つい数時間前のことだから。



女を抱くのは私にとって単なる性欲処理の一貫に過ぎない。今までだって寝た相手に何の感情も持ち合わせていなかった。


相手だって私に多くを求めていないだろう。その


機械的なセックスはちょうど良い運動にもなるし、何より欲望の解放に役立つ。



それなのに―――


私はたった今イチを抱こうとしていて、まがりなりにも途中までそう言う雰囲気になって







彼女のこと







大事に大事に






したいと







そう



思っていた。