話が終わったつもりでいて、俺は一人病室に取り残した朔羅が心配で足早に病室に向かおうとしたところ


「戒さん」


響輔に呼び止められた。


首だけを動かし振り向くと





「お嬢のこと―――どないしはるんですか。



戒さんがお嬢に―――






……手ぇ出すと、お嬢は発症するかもしれまへん」



俺はその言葉に的確に答えることができなかった。


ただ目を開いて響輔を凝視していると


「俺の抗体があれば良い言う問題やありまへん。


これは思った以上に―――深刻な問題なんです」


「ああ、深刻なんは分かってんよ」


俺は額に手をやった。忘れかけていた頭痛が今頃になってじわりじわり…ときた。


「このままじゃお二人は……」


響輔が言いかけて





「分かっとるわ」





俺は響輔の言葉を遮った。