「ほんまか。姿見たんか。


てか何でスネークが敵であるお前を治療すんねん」


「姿は見てへんです。怪我で朦朧としとったから、気づかんかっただけかもしれへんけど


でも一結しかおらんかった……ように思えます。


俺を治療したんは――――理由は分からへん……」


最後の方は響輔も自信無さそうにして言葉を濁す。


けれどすぐに顔を上げて


「でも俺が行く数分前まで居ったんは確かですワ」


「何でそれが分かるんだよ」


俺が目を細めると


「それは……」


響輔は今度は意味ありげに言葉を濁した。


今度こそほんまもんの沈黙が降りてきて俺の方もそれ以上突っ込んで聞けず


「まぁお前が見てない言うんなら意味がないしな。


その男が舞い戻ってきた可能性はあるな」


だとすると可能性はタイガの方に絞られるわけ―――か。


何せドクターは朔羅が倒れると言う事態で抜け出すどころじゃなかったろうからな。


「まぁお前怪我してたし、薬効いとったしあんまり記憶は宛てにならへんな。


それよりこっちは収穫やで。お前がイチんところに行ってるときあの女から接触あった」


俺の言葉に響輔は顔を上げ目を開いた。


黒い黒曜石のような瞳が揺れる。





「一結は何て―――……」