「それよか、俺……朔羅の前で平静を保つの結構苦労したで。


打ち合わせもなんもなかったから、俺頷くしかでけへんかった」


「戒さんのアドリブなかなか良かったと思いますよ?


おかげでお嬢は少しも疑ってない」


「だとええけどな」


「お嬢は単純ですからちょっと難しい話を出すと、すぐに考えるのがイヤになっちゃうんですよ、大丈夫です」


お前なぁ、仮にも愛しい女を〝単純”呼ばわりするなよ。


まぁそうゆう俺もそう思うけど。


「……んで。誰に手当てしてもろたん。イチか」


俺は響輔の額に巻かれた包帯を目配せ。出かけるときはこんな包帯巻かれていなかった。


包帯…と言うよりも清潔なシーツの切れ端のよう切り口がぎざぎざしている。


響輔はしばらく悩んだ素振りを見せ


「それが……ドクターを呼んだ言わはるんですわ」


「ドクター……?あいつが?この病院を抜け出した気配なんてなかった気ぃするけど」


「俺もそう思います」


この巻き方は医師って言うよりも―――軍人の応急処置に見えるのは気のせいか。


「じゃぁ誰がお前の手当てした言うねん。イチが?」


「いえ……高度な医療技術ですよ。ちゃんと傷口も縫合されてるし、一結じゃ到底無理かと。


考えられるんは一つ





スネーク」








スネーク。