あたしはここに居るよ―――


あたしは響輔の手をそっと握った。


「夢であたしと会ってくれてるのかな…だったら―――


嬉しいな」


きゅっと響輔の手を握りしめそのきれいな寝顔をじっと眺めていると


薬が切れてきたのか、響輔はほんのわずか苦しそうに瞼を震わせて、ゆっくりとこちら側に寝返りを打とうとした。


体が言うことを聞かないのだろうか、響輔はゆっくりともがくようにこちらに向こうとしている。


「…寝返り…打ちたいの?」


動かしていいのかしら。


思ったけれど響輔は自力でこちらを向こうとしていて、あんまり動かさないのも腰や背中を痛めると判断したあたしは響輔の腰と背中にそっと手を置いた。


「失礼するわよ?」


一応断りを入れておいた。


起きてたら『1タッチにつき1万円』なんて冗談言われそうなシチュエーションだわ。それか『お客さま、お触り禁止です』とか??


とにかくそんなくだらない想像が頭をよぎってちょっと笑えてきた。


あたしにもそれぐらいの余裕が出てきたって言うのかな。


あたしが響輔をこちらに振り向かせると


布団の中で


ヴーヴー…とケータイのバイブ音…?が鳴り、あたしは目をまばたいた。


ちらり


布団をめくりあげるとお尻のポケットからケータイが転げ落ちたんだろう、


黒いケータイが落ちていて、そのサブディスプレイには






着信:戒さん





となっていてあたしは目をまばたいた。







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