何……
「何するの!」
思わず玄蛇を引きはがし、眠っている響輔の前に立ちはだかると、
玄蛇は口元を手の甲で拭い、
「時間差で効く痛み止めを飲ませただけだ。麻酔が切れると今度は傷が痛むからね」
としたり顔。
痛み止め―――……
何よ、それならそうと早く言ってよ。
「てか口移しで飲ませる以外方法はないの!」
“あたし”の響輔を汚さないでちょうだい!と言う意味で睨むと
玄蛇はちっとも堪えてない様子で軽く肩をすくめる。
「悔しいなら君ともしようか?間接キスだよ?」
と、
何を思ったのかあたしに顔をぐいと近づけてくる玄蛇。
玄蛇の長い睫があたしの瞼をかすめ、あたしたちはそれこそキスが出来そうなぐらい距離を縮めた。
その距離に
今、響輔が眠っているベッドでことに及ぼうとしていたあたしたちのことを思い出しカッと顔が熱くなった。
「おや?顔が赤いね」
玄蛇に意地悪そうに指摘されてあたしの顔に益々熱がこもった。
だけど玄蛇の唇はあたしの唇に触れることなく、顔ごと遠ざかっていく。
「さっきのことは冗談なんかじゃないし、その場の流れなんかじゃない。
したいと思ったからそうした」
急に言われてあたしは目をまばたいた。
「私ははじめて君の本心に触れて、その本当の姿が思いのほか
美しかったから
そうしたい
抱きたい
と思った。
忘れないでほしい」
そんなこと言われると
忘れ――――
られないわよ。



