でもそんなこと今はどうだっていい。
あたしに取引できるカードなんて最初からなかったんだ。
あたしにできるのは―――
「響輔を―――助けて。
お願い」
唇を噛みながら玄蛇を見上げると、玄蛇はうっすらとまたも悲しそうに眉を下げて
「御意」
短く答えた。
――――
玄蛇は軽々響輔を抱きかかえて、あたしのベッドに寝かせると
「きれいなシーツを、あとお湯が欲しいな。
ソーイングセットなんてものがあると嬉しいが」
手際よくあたしに指示。
あたしは言われた通りのものを用意しながら
「シーツとお湯ならあるけどソーイングセットなんてあたしが持ち歩くと思う?
フロントに持ってこさせるわ」
と電話を取りあげようとすると
「冗談だ。ソーイングセットで縫合なんて普通しないよ」
玄蛇は軽く笑ってスーツの中から小さな小さな銀製のケースを取り出した。
あたしの手の中から受話器が滑り落ちる。
「じょ、冗談ですってぇ!!!
この状況で良くそんなこと言えるわね!」
目を吊り上げて玄蛇を睨むと、玄蛇はまたも「ははっ」と渇いた笑い声を挙げ
「君はそうじゃないと。笑ってるより怒ってるのが君らしくて好きだ」
口の端でシーツを切り裂いた。
何よ、あんたSに見えてやっぱM。
と思ったけれど、玄蛇が切り裂いた白いシーツと同じだけ白い歯がちらりと見えて
その仕草が妙に色っぽく手何故だか
ドキリと胸が鳴った。



