「……じゃ…じゃぁ傷の手当てを?」
「ああ。放っておいたら細菌感染してしまう恐れがある。
医者を呼ぶのもいいが、この傷をどう説明する?普通じゃないし、警察に通報されるのがオチだ」
玄蛇に言われてあたしは唇を引き結んだ。
「それならドクター鴇田を呼ぶわ。一流でしょう?」
あたしが玄蛇を睨むと、玄蛇はふっと唇の端を緩めて「やれやれ」と言った感じで肩をすくめる。
そして腰をかがめてしゃがみ込むと、響輔を覗き込んだ。
あたしはそんな玄蛇から響輔を守るように彼をぎゅっと抱きしめたけれど、響輔は身動き一つしない。
そんな響輔を無表情で見据えて、玄蛇はそっと響輔の前髪を掬い傷をまじまじと見つめた。
「ブピカインが体中に回ってる。感染症も起こしかけているし合併症の心配もある。
一刻を争う深刻な状況だ。
彼を呼ぶより私が手当した方が早い。
鷹雄 響輔は君にとっても王子さまだけれど私にとっても
王子である
大事な大事なキーマンだからね」
玄蛇は複雑な表情を拭い去り、無表情を顔に浮かべると冷めた目でぐったりとしている響輔を見下ろしていた。
キーマン……
響輔は―――玄蛇にとって
何の役目を果たすって言うの?



