響輔があたしのローブの襟をぎゅっと握ったまま目の端を吊り上げている。
見たこともない怒りの表情に―――あたしは身震いしてその場を動けなかった。
一言も発することさえできない。
「離さへんで」
もう一度言われて、手を掴んだまま響輔が乱暴に部屋に入る。
「ちょっと!」
いきなりの行動にびっくりしてあたしが怒り出すも、それよりも部屋に居るはずの玄蛇の姿を見られないかドキドキした。
響輔は玄蛇の正体を知らない。
知られたら―――響輔の命が危ないかもしれない。
「勝手に入らないで!ねぇ出てってよ!」
あたしが叫ぶも
「出てかへん!」
いつになく頑固な響輔が……いいえ、頑固なことは元々分かっていたけれど
振り返って見たこともない怖い顔であたしを睨んでいる。
「あんた、自分で何しとるか分かっとるん!
あいつは危険なヤツなんやで!!」
「分かってるわよ!」
あたしは強引に響輔の手を振り払おうとした。けれど本気の響輔にあたしの力なんて通じないのは当たり前で―――
「分かってへん!
あんた何も分かってへん――――!!
俺がどないあんたを――――……」
言いかけて響輔の体がふらり
傾いた。



