響輔がケータイを耳に当て


「もしもし?戒さんが電話に出られへんから代わりでもええですか?」


と真剣な表情で聞いている。



響輔はそれから二三「ええ、はい」とか「は?」とか受け答えして、途中通話口を押さえて


「熱くなったらこっちの負けですわ。ヤツのペースに巻き込まれんようにせな」


真剣に言われて俺はぎこちなく頷いた。


響輔の言うことは一理ある。


これは明らかに挑発だ。


けれど響輔は真剣な顔で頷いていたものの、突如俺にケータイを向けてくる。



俺は響輔からケータイを受け取って再びのろのろと電話口を耳に当てると


『虎間 戒くん――――?


どんな薬でも己に打ち勝つ抗体は存在する。


龍崎 朔羅に投薬したのは危険極まりない薬だ。


私がそんな危険な薬に特効薬を作ってないとでも―――』


「その薬っ!どこにあるんや!」


再び怒鳴ると



『薬じゃないよ、同じく免疫だ―――






鷹雄 響輔の―――ね。





発症したときと同じ方法で免疫が龍崎 朔羅の体内に入れば



彼女は助かる』







なん――――だって―――