ドクターは朔羅をベッドに寝かせ、今は響輔の手当をしている。


ガーゼを額に当て、傷口を眺めながら「血が止まらないですね。縫った方がいい。大至急手術しましょう」


と真剣に医者らしいことを言っている。


「怖がらなくても大丈夫、外科の先生は腕がいいので」


響輔の顔色が青いのは麻酔薬が効いているからで、手術を怖がっているようには見えないが、何を勘違ったのかドクターは大まじめ。


「俺のことはいいです、それよりお嬢を―――」


響輔はガーゼをドクターから奪うとゆっくりと立ち上がったが、腹を強打しているのだろう


すぐには起き上がれずよろよろと近くの柱に掴りながら起き上がろうとした。


「朔羅は大丈夫だ。こいつが言うんなら間違いない」


俺は変態ドクターの方を目配せ。ドクターは肩を軽くすくめた。


こいつは変態だが医者としての腕は信用できる。


そんなやり取りをしている最中だった―――


TRRRRR


誰かの着信音が鳴り、俺と響輔は思わず顔を見合わせた。


「ああ、失礼。呼び出しです」


ドクターが軽く手を挙げ白衣のポケットからピッチを取り出す。


「―――はい、鴇田ですが?――――ええ…はい……え―――」



ドクターは最初の内のんびりと受け答えしていたが最後の方は焦ったように早口に聞き、通話を切ると


「患者の容態が急変したようです。私は一旦―――」


と言い白衣の裾を翻し慌てて出て行った。


「随分な慌てようだな。どんだけ重要人なんだよ」


と俺は疑わし気に腕を組んだ。






ドクターが慌てる程の人物ってのは―――





もしかして





龍崎 琢磨―――






俺がはっとなって出入り口を目で追っていると


ひょこっとドクターが顔を出し、何故だか今度は俺の方が慌てて顔を逸らした。


「私はすぐ戻りますからね。いいですか、勝手に動き回らないように」


と釘だけさして今度こそ廊下の奥へと消えていった。



そして俺たちは数分そこで待たされ、やがて数分後に外科のドクターが慌ただしく出入りしはじめたと思ったら響輔を処置室に連れて行こうと、


響輔も抵抗する気はないのかドクターたちの指示に大人しく従おうとしていたときだった。





~♪


俺のケータイに電話がかかってきた。


相手は非通知設定になっている。







直感





これは












スネーク