響輔は額から血を流し、その血液が前髪の隙間から鼻の付け根を通り瞼の下を滑り落ちている。


「おいっ!響輔っ!!しっかりしろ!」


俺は響輔を抱き起こし、こいつの顔に顔を近づけた。僅かだが息がある。


響輔―――!


一体何があったんだ…


響輔は息があるものの俺の問いかけにぴくりとも動かない。


「響輔、しっかりしろ」


もう一度言って響輔の頬を軽く叩くと


「………ぅ……」


小さくうめき声を漏らし瞼が震えた。


「響輔っ」


何度目かの問いかけをしているときだった。


「これはこれは……酷い有様ですね」


聞き慣れたドクターの声が入口の方から聞こえてきて、勢いよく振り返ると


変態ドクターが朔羅を抱きかかえて呆気にとられたように口を開き、入口に突っ立っていた。


「朔羅っ!」


ドクターの腕の中、朔羅の方も意識がないようで俺が朔羅を奪い返すように抱きかかえると


「大丈夫、眠っているだけです」


ドクターは無理やり苦笑い。