俺は朔羅の手から強引に拳銃を奪い、


「あっ!」


朔羅が勢いでよろけたがすぐに態勢を整えた。


すぐに回れ右をして入口のドアを脚で叩き破ると、そのまま走り出す朔羅。


「待て!」


俺も拳銃を持って追いかける。


今の朔羅―――絶対普通じゃない。


何しでかすか分かったもんじゃない。


慌てて追いかけると、白衣の男が飛び出してきた。


見知らぬ男だったが、こっちも切羽詰まったように


「いたぞ!あの女だ!捕まえろ!」


と怒鳴り、その声に反応して数人のドクターの恰好をした男たちが朔羅の後を追いかけて行った。


「待て!」


俺もその後を追いかける。


狭い病院内とはいえ俺は足に自信がある。さっきの田崎じゃないがドクターたちの肩を押しのけ前へと抜き出ると


朔羅の背中が見えた。


「朔羅―――!」


だがその呼びかけは朔羅には聞こえていないようでひたすらに廊下を駆け抜ける朔羅。


やがて中央階段に差し掛かったとき


「いたぞ!こっちだ」



階下から怒声が聞こえてきた。朔羅は完全に挟み撃ちにされた。


階下の踊り場で男が一人拳銃を構えて朔羅を狙っている。


おいおい!何でお前もハジキ持ってんだよ!


俺は心の中で怒鳴り






「朔羅ーーーー!!!」






叫んだが、朔羅はちらりとこちらを振り返っただけで


素早く階下に視線を移すと、手すりに飛び乗り


その手すりに腰を置き、滑り台のように滑っていった。