「……分かった」
川上はようやく納得したのか、大きく頷いた。
俺は川上から手を離し―――大きく頷いた。
「龍崎くんの言う通りにする。あたしが居たって結局足手まといになると思うし」
その通りだ。
その言葉は言えなかったけれど川上だって分かっているに違いない。
「その代わり、無事に帰ってきてね。
それで何があったのかちゃんと教えて―――
もう隠されるのとかうんざりだよ」
「分かったよ」
俺は川上の頭をぽんぽんと叩いた。
「それに俺はお前を仲間外れなんてしてないぜ?お前には記事を守ってもらう重大な任務(?)があるんだからな」
俺が無理やり笑うと川上もぎこちなく笑った。
視界の端…遠く緑色のタクシーが入った。
俺は手を挙げると川上はまたも大事そうに記事を抱きしめた。
すぐに止まったタクシーに川上を乗せ、遠ざかるタクシーを俺は少しの間見送っていた。
川上も不安そうに後ろを向いていたが、やがて視界の端から完全に消えると
俺はケータイに向き直った。
『お嬢、落ち着いてください!』
遠くで響輔の怒鳴り声が聞こえる。
良かった。こっちも〝とりあえずは”無事なようだ。
「おい!響輔っ!!どないしたん!朔羅に何かあったんか―――!!」
再び怒鳴ると、
『だから言うたでしょう!!緊急事態やって!』
いつになく余裕のない響輔の怒鳴り声が聞こえてきて
その緊急度がかなりのものであることを悟った。



