「龍崎くん!」
川上が俺の後を追いかけてきて、俺は駅の方へと指さし。
「川上!お前は走って駅まで向かえ!悪りいがその記事は持っていってくれ」
俺は川上が抱えている記事も指さすと、川上は一瞬だけ立ち止まって手の中にある記事のコピーと俺とを見比べる。
走り去る男はどう見ても小者以下。
スネークや白へびの手下とは到底思えなかった。
だが―――俺が何を探ってるのか勘ぐられるのはマズイ。
俺は川上の返事も聞かずに再び前を向いて走り出した。
が―――
相手はかなりの足の速さだ。
おまけにこの時間帯、帰宅する社会人で道はごった返しになっていた。
ヤツはその人の波を器用に避けて走り去る。
「くそっ!」
どんどん遠ざかるその見も知らない男の背中を目で追って、俺は視線を辺りに彷徨わせた。
ちょうど近くに部活帰りだろうか、
自転車を引きずっている女子高生らしき女が二人、通った。片方は歩きだ。
どうやら徒歩で帰る友人の付き合いをしているようだ。
これだ!
俺は女子高生に近づくと、自転車のハンドルを奪った。
「ちょっ!」
女は目を開いて抗議したが
「悪いがちょっとの間、借りるで♪」
俺が小さくウィンクすると
「「はい♥」」
二人は揃ってぽぉっと返事をして、
ふっ
チョロいぜ。
俺は内心で薄ら笑いを浮かべ、その自転車にまたがると再び男を追い始めた。



