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指定した図書館の前で、女が突っ立っていた。


白いタンクトップに黒ベースの花柄ミニ丈のスカート。腰にデニムのジャケットを巻いてある。


短いスカートから伸びた白い足が太陽に反射していた。


見慣れない私服に俺は目をまばたいた。


こいつって可愛いとは思ってたけど、こんなに‟きれい”だったっけ。


それか、あれか…


恋をすると女はきれいになるってヤツか?


見慣れない女を目の前にしているようで、俺の足は躊躇していた。


どうやって声を掛けようかな…この俺が珍しく戸惑っていると女の方が先に気づいたようだ。


すんなり伸びたつま先が、一歩前に出てぎこちなくこちらを向く。


「よ」


俺はことさらなんでもないように手を挙げたが、



「よ、じゃないよ。何なのよ、もー」


俺が呼び出した相手は額に手を置き、可愛らしい服装とは反対に若干の疲れを滲ませた表情で目を僅かに吊り上げる。


その女は―――








川上 理子






だ。