私は奪ったメスを放り投げると、
カラン
渇いた音が病室に響いた。
私を切りつけた際に付着した血の跡が、ナイフと一緒に落ちる。
しかしこれでようやく邪魔者の一匹は消えた。
あと一人―――
私はキョウスケを再び見据えると、キョウスケはそろりと手を挙げて
「お嬢……怪我をされてます。とりあえず手当をしないと」
と私の腕を見やる。
確かに切られた部分から熱を持ったように熱い血が流れ出て、みるみるうちに白いシャツを赤く染めていった。
だが今の時点で痛みはほとんどない。
大した傷でもないし、放っておいて死ぬこともない。
だから私はキョウスケの意見を無視してひたすらにこいつを睨んでいた。
仕掛けるときのタイミングを見計らっていた。
この男は強い。
一瞬の気のゆるみ、ミスは許されない。
そのときだった
~♪
聞いた覚えのあるメロディがケータイから流れ出て、さっきの騒動で通話が切れていたことに気づいた。
二人して顔を合わせ、またも同じタイミングでケータイの方へ飛び上がった。
あと数ミリで手が届くと言う場所で、キョウスケが私の腕を引き後ろで捻りあげる。
骨と筋肉がねじれる痛みに
「ぁあっ!」
顔をしかめながらそれでも何とかケータイに手を伸ばそうとする。
埒が明かないと踏んだのか、キョウスケは
「お嬢!失礼しますよ!」
一言怒鳴って、私の怪我をした部分をぎゅっと掴み、さらに捻りあげた。



