ドーベルマンたちはタイガに撫でられて気持ちよさそうに目を細めている。
「何でお前……」
素を全開にして睨みながら聞くと
「まだ怒ってるの~~??」
と、タイガはさっきの意味深な笑みからいつもの様子に戻ってあせあせ。
は?
「怒ってるでしょ…僕何やらかしたか知らないけど…何か癇に障ったのなら…」
タイガは俺を放置してブツブツ。
「てか……それ―――その犬……」
俺がドーベルマンを指さすと、またドーベルマンたちが牙を剥き目を吊り上げる。
だがタイガが
「こらっ!」
と一言怒る(?)と、しゅんと項垂れるドーベルマン。
「さっすが、狼。同じイヌ科同士気が合うっての?」
嫌味で言うと
「気が合うのは確かだよ~だってこの子たち僕が育てたんだもん♪」
とタイガは楽しそうだ。
はぁ?
育てた??
「そ。文字通り育てた。
僕、ブリーダーの資格持ってるんだ~~衛に頼まれてここのガード用に躾したの★
多少気が荒いとこあるけど、ホントは可愛い子たちなんだよ。
でもほら……目の前に可愛いヒツジが居るとつい襲いたくなっちゃうのは猟犬のサガだよね♪」
うんうん
タイガは一人納得して頷き、俺は
何故―――頼まれたからと言ってそんなことまでする必要があるのか
聞きたかったけど
やめた。
こいつのバカげた発言のせいで戦意喪失だ。
助かったわけだし、まぁいいや。
でも―――タイガがいなかったらマジで指の一本ぐれぇ無くしてたに違いない。
良く躾されてる。
てことは、外部から侵入する可能性がまた一つ―――減ったと言うわけだ。
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