ドクターだけならまだしもタイガまでそのことを知っていたとは…
「私の医師歴の中で今まで誤診は一度もない。
龍崎組のお嬢だからね、何かあったら大変だと思ってかなり精密な検査もした」
バサッ
ドクターはぞんざいな仕草で数枚の紙をソファに投げ
その何かの紙をタイガが拾った。
タイガは少しの間それを真剣に見つめていたが
「君には心当たりがあるのか?彼女が日射病じゃない、と疑う理由が。
―――彼女に何かをしたのか?
君が抱えている兵士のように―――」
兵士――――……?
ドクターに聞かれて、タイガは無表情の数枚の紙をドクターにの胸に突き返す。
「何のことか私にはさっぱりだ」
タイガが冷たく言って、さらに紙を押し付けるとその力でドクターの体が椅子ごと僅かに後退した。
ギシッ…
回転椅子が軋んだ音を立て、それがやけに大きく聞こえた。
タイガがドクターに顔を寄せる。
「いいか?我々は今疑われている―――
畑中組の倉庫の遺体の件で、青龍会はピリピリしてるし、ネズミもうろうろしている。
そのうち、龍崎 琢磨が黙っちゃいないだろう。
君だってこの状況を知ってるだろう?
そんな中で私が下手に動くとでも?
お互いさまだと思っていた。だから我々の仲もこう着状態が続いていたが―――
これは警告だ。
下手な動きをすると破滅する。
龍に―――
食われるぞ。
身の振り方には、気を付けたまえ」



