「とりあえず、早く仲直りしてください。


これじゃスネークの思う壺です。内部分裂してしまう」


響輔に言われて俺も小さくため息。


「分かってるよ」


俺もため息。


さっきの状態を見てりゃ分かる。もう俺たちはバラバラだ。


俺たちがバラバラだったらあいつの思う壺だ。


「カズノリくんのことは一旦おいといて、それよりさっき戒さんの言葉で気づいたことがあるんですが」


響輔が顔を上げて真剣な目で廊下の奥を目配せ。


「以前戒さんが入院したとき、襲ってきた男はどうやってこの病院に侵入したんでしょうね」


問いかけられ、響輔の視線の先を見るとそこには監視カメラが回っていた。


普通の病院ならなかなかない光景だな。


ここは極道の病院だしな、不審者の出入りを厳しくチェックしてるに違いない。


そう言えば以前俺が侵入したサーバールームも※PCに厳重なセキュリティが施されていた。
※CherryBlossom Ⅱ参照


「監視カメラの映像を細工したんじゃねぇの?


お前がイチからデータを盗んだことに気づいたヤツだ?それぐらい簡単なことだろ」


「そうかもしれません。けれど一度侵入経路を調べる必要があります。


今日だけでも。お嬢が入院しているので」


「調べるってどうやって?」


「それは戒さんがご自分で考えてください。あなたならどうするのか、と」


響輔が冷めた目で俺を見てきて、俺はため息。


どうやって?


なんて愚問だ。俺だったら侵入するルートは一つ。







「通気口ダクトだ」