ホントは分かっていた。


戒はあたしのことを考えてくれて、あたしのことを心配してくれて。


そして戒は雪斗とは違うってこと―――あたしが一番よく知ってる。






あたし―――


何で感情に任せてあんな酷いこと言っちゃったんだろう……


タイガがあたしを見て、ぎょっとしたように目を見開き


「タイガさん、ご覧の通り取り込み中なんです。今日は外してください」


キョウスケが冷静に返して


「……そうだね。出直すよ。ごめんね、間が悪かったみたいだね」


タイガは素直に頷き、部屋を出て行った。


あとに残されたあたしとキョウスケ。





「大丈夫ですよ、お嬢。



戒さんは確かに怒ってるけど、それはお嬢にじゃありません。


あの人はそこまで子供じゃないしバカでもない。




あの人が怒ってるのは





お嬢を悲しませた自分自身に、ですよ」






キョウスケが再びあたしの頭を引き寄せ、その肩に寄りかからせるとまた頭を撫でた。








ううん





悪いのはあたし






あたしがいつまでもいつまでも








過去を引きずってるから……






戒との未来を見ようと努力してるはずなのに


心のどこかで


夢見ることを諦めてるのかもしれない―――から。