タイガが乱れたネクタイと襟元を直し、


「どうしたの…ヒツジちゃん。反抗期??」


とKY発言でそそくさとあたしのベッドに近寄ってくる。


タイガと入れ違いのように出て行ってしまった戒の後ろ姿を最後まで見送って


けれどあたしは声を掛けられなかった。


ピシャリ


と遮断するかのように勢いよく閉められた引き戸は戒が乱暴に閉めたせいで反動で僅かに開いている。


「戒……」


そこになってようやく戒が怒って部屋を出てしまったことに気づいた。





あたしが―――怒らせた。






「戒…!」


戒の背中を追うように手を伸ばしベッドを降りようとしたが


「お嬢…今は休んでください。戒さんには俺がフォロー入れておきますので」


またもキョウスケに両肩をやんわりと押されてあたしはベッドに逆戻り。


「どうしたの??二人とも喧嘩でもした?」


タイガが不思議そうに目をぱちぱち。


「喧嘩……じゃない……あたしが…



戒を怒らせちゃった…」





何とか答えると、ぽたり


シーツの上に大粒の涙が落ちた。