「え…でも……!」


ちょっと待って。こんがらがってきた。


「だってあいつ女は愛せないんだろう?」


「〝愛せない”とは彼の口から一言も聞いてません」


た…確かに……


〝可愛い男の子”が大好き、とは聞いたケド。


「現にあいつはお前のことだって狙ってるしな。まるきりダメとかじゃない。いわゆるバイってやつだな」


バイ…


バイバ~イ!♪


……じゃなくて!


両方いける。


ホントに居るんだなそんな人種が。


あたしはノートを力強く握ったまま目を開いてその文字を凝視。


「で、でもただの偶然かも…」


「偶然と片付けるには無理がある。


あのメールは暗号化されてた。つまりタイガの方も知られたくなかったってことだろ?」


そ…そっか。


そう…だよな。


「でもさ!だったら何でタイガのやつ、無防備にPCを開いたまま席をはずしたんだ?


見られるかも、って思わなかったんか?


あいつがスネークだったら間抜け過ぎるんじゃね?


それに理系のお前がこんな仮説信じるってことが意外だぜ」


あたしはノートをキョウスケの胸にドンと突き返し


「また理系って……俺ってそんなに理屈っぽいですか?」


とキョウスケがちょっと悲しそうに影を背負って俯く。


いや、理屈っぽいとかじゃなくて。






「そんなんじゃなくて


医者目指してるお前だったらさ~もっと医学的根拠


たとえば血液型とかDNAだとか、そうゆうことを最初に考えそうだけどな、って意味」




ま、おバカなあたしにはどっちの仮説も思い浮かばなかったけど~


と付け加えて笑うと、キョウスケはぎくりとしたように目を開いた。