「殺し屋ってのは映画でもそうだけどよ~何であんな黒を好むんだろうな?」


戒が呆れたように両手を頭の後ろにやってなっがい両脚を投げ出す。


「闇に溶け込むためだろ」


それしかねぇな。


うん、うん。あたしは一人で納得。


「お前もいっつも闇に溶け込んでるよな。黒来てなくても(笑)殺し屋キョウスケ」


あたしはキョウスケを見て笑うと


「……溶け込んでるつもりはないのに…」


キョウスケ、またもちょっと影を背負って俯く。


しばらく開いた脚に手をついて考え込んでいたキョウスケを、あたしが傷つけちゃったかと思って急にあたふた。


「ごめん、キョウスケ!存在感ないとか言って(←そこまでは言ってない)」


「……いえ。


わざわざあの容姿で俺の前に二度も姿を現したのは―――




ヤツのパフォーマンスじゃないかと…」




「「パフォーマンス?」」



またも戒と声が合わさり、あたしたちは目をぱちぱち。


「何故目立つ格好で姿を現したのか、それは俺たちにその姿を印象付けるため……だったら?」


「何でそんなことする必要あんねん。あいつの正体はおおよそ検討ついてんねんで?


アルビノやって判明したし、そもそもそんな危険なことをして向こうに何のメリットがあるん」


「我々の意思を錯乱させるためやったらどうです?」


あたしは二人の会話に言葉も挟めずただひたすらにぎゅっとシーツを握っていた。


あたしは……さっきのキョウスケの言葉『パフォーマンス』ってところに引っ掛かりを覚えてた。


さっき日射病で倒れたから、そのとき頭の回線の一つがショートしちまったのかな。


いや、いつもショートしてる部分が今回の件で偶然つながった感じ。


不思議なことに妙にすっきりと冴え渡っていた。






「違うよ。






それはあたしたちに対する何かメッセージだ」


あたしの言葉にあれこれ考えを出し合っていた二人が顔を見合わせてあたしに注目した。


あたしは白いシーツを握ったまま、ただただそのきちんとノリが効いたシーツを睨んだ。







警告か、


それとも宣戦布告か。





誘いか、


罠か―――










分からない。




けれどヤツは何かを伝えようとしている。





でも一体何を―――……?