「んで、その金髪の男が怪しいってことだよな」


戒は確認するようにキョウスケに聞いて


「でも金髪の男なんてたくさん居るぜ?キモ金髪じゃね??


あいつ妙に鼻が効くからな。美人センサーての??イチのストーカーだったりして」


あたしが冗談ぽく笑うと


「さすがに金髪くんと他の男ぐらい見分けがつきますよ。


身長180㎝前後、痩せ型。サングラスに黒いコート、黒いパンツ」


「何やねん、その犯罪者チックな姿は」


戒は眉をしかめて腕を組む。


「このくそ暑い日にコートなんて、変態か殺人者ぐれぇだよな」


あたしも思わず笑った。


「変態で殺人者かも」


キョウスケが言い、その言葉が


タイガを指し示しているのだとすぐに分かった。


「体格なんかは〝あいつ”と類似してるよな」


戒もその話に信憑性を感じているのか、顎に手を置き大きく頷いている。


ごくり


あたしが喉を鳴らす。






近づいてきた。






その感覚がじわりじわりと、確実にあたしの中で浸透してきている。



でも


何でだろう。


いつも一歩と言うところであたしたちは必ず違う謎を抱えることになる。


一つ謎が解けたら一つ難問が浮上する。


まるでスネークに最初からその場所に誘われているような―――





近づけば近づくほど







世界一の殺し屋



と言うビジョンがぐにゃりと歪んで、まるで雨の景色を映した窓のように滲んで


その姿が






見えなくなっている気がするんだ。







あたしたちは





何かを間違えている気がしてならない。