「俺、ちょっと席外します。何かあったら呼んでください。


部屋の外に居ますので」


キョウスケは突然言い出して、背を向けた。


「あ、うん……」


あたしは部屋の外に向かおうとするキョウスケの後ろ姿に向かって





「キョウスケ、



心配してくれてありがとな!」





一言声を掛けると、キョウスケは後ろを向いたまま軽く手を挙げ個室の外へと出て行った。


「あいつ……気ぃ遣ってくれたんだな」


戒が目を細めてキョウスケの出て行った扉の方を目配せ。


「お前も…ありがとうな。それと、心配かけちまってごめんな」


まだ体が本調子じゃないからかな。いつになく素直になる。


戒はゆるゆると首を横に振った。


日射病って全然大したことないけど、まだ頭痛や吐き気がする。


頭がぼんやりと重い。



戒はベッドの端に腰掛けた。



ギシっ


スプリングが軋む音だけがやけに大きく響いて



ここが病室だというのに、何だか変な風に意識しちまう。