暗に『この猛獣を何とかしてくれ』とメガネの奥の目が語っていて、残りのドクター二人も困り切っていた。


「鴇田ぁ!


日射病だとか抜かしやがって!!


倒れたなんて異常だろが!


誤診だったら貴様をぶっ殺してやるからな!!」


この場合の「鴇田」は衛のことだな。


鴇田が二人も居るからややこしい。


まぁ兄弟だからどうしようもないことだが。


「会長、安静になさってください。


衛はこう見えて優秀です。それに衛が死んだら貴方が一番困るでしょう」


俺は会長と衛の間に割って入って、今にも衛に殴り掛かりそうな会長の胸を強めに押した。


会長は言葉通り『ぶっ殺す』勢いだ。


「衛、お前も離れろ。お前たちも下がれ」


俺が衛と、二人のドクターを見渡すとドクターたちは慌てて後退した。


俺の登場に会長も少しだけ冷静になったのか、落ち着きを取り戻した…





「さすが猛獣使い。二十年以上も付き合っていると扱いも慣れるものですね」


とKYな発言をした衛はマイペースにメガネのブリッジを直している。


「貴様!!地獄に送ってやる!」


俺の腕を掴み、今にも俺を押しのけそうな勢いを取り戻した。


衛!!


お前は空気を読め!!