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―* 鴇田Side *―






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お嬢が倒れた、と言う報せを受け取って俺は鴇田組から直接御園医院に向かった。


偶然だが会長はそのとき定期検査中だった。


今朝はお体の具合も良さそうだったが、検査では薬の投与のため点滴も打つ。だから数時間と拘束されることを嫌がっておられた。


それが良かったのか、悪かったのか―――


衛はご親切にも会長以外俺と、それから虎間とキョウスケに連絡したようだが


一番早く到着したのは俺だった。


御園医院から一番近くの場所に居たってのが正しいな。


会長がいらっしゃる処置室に向かうと、点滴を無理やり引き抜いたのかシャツが第二ボタンまで開いていて腕まくりもしていた会長がベッドの上で、文字通り


暴れていた。


「姪御さんはご無事でいらっしゃいますので落ち着いてください!まだ点滴の最中です!」


と、ドクターの二人が彼を必死に取り押さえている。


「安静になさってください。点滴中です」


と、珍しく余裕のない表情で衛も会長を押さえつけ





「黙れ!俺のことなんてどうだっていい!!


朔羅だ!!




あいつは無事なんだろうな!」





会長は三人がかりで取り押さえられていながらも、力の限り叫んでいた。


いつもならドクター三人ぐらいどうってことないだろうが、今は具合が悪いのか抵抗する力が弱かった。


今朝は良さそうだったが急変したのかもしれない。


「衛」


俺が駆けつけると、衛はほっとしたように少しため息を吐き


「お嬢さんなら大丈夫。ただの日射病だよ」


と教えてくれた。




日射病――――……?