聞いたこともないメーカーのしょぼい缶コーヒーを飲みながら、売店の前にある長椅子に並んで腰掛ける。
俺、何やってんの?
ライバルと一緒に隣り合ってコーヒーを飲む滑稽な姿が、売店のショーウィンドウに映し出されていた。
けれど
きっと一ノ瀬も朔羅のすぐ傍についていられなかったのは、龍崎 琢磨のあんな姿を見ちまったからだろうな。
今回は二人してあの男に
完敗だぜ。
何が「負け」で何が「勝ち」なのかわからないが、俺たちは間違いなく敗北した。
ヤツの背負っているさだめってやつに。
一ノ瀬は龍崎 琢磨の事情を知らないだろうが、あの表情から何かしら察するものがあったんだろう。
「朔羅が大事に至らなくて良かった…」
一ノ瀬はコーヒーの缶を手の中で包んで安心したように吐息をついた。
「ああ。お前が支えてくれたおかげで頭打たなかったから外傷もないしな。
サンキュ、な」
「――――…うん」
一ノ瀬は短く答えてコーヒーの缶を手の中で傾ける。
「俺たち……帰るとこだったんだ。
ちょっとごたごたがあって親父が家に帰ってたから、
朔羅はわざわざ付き合ってくれて」
一ノ瀬はゆっくりとしゃべりだした。
「親父――――……てマルボウの?」
俺はコーヒーを飲む手を休めた。



