パタン…
俺は朔羅に声も掛けずに部屋を出た。
響輔も同じように俺の後についてくる。
「いいんですか?声を掛けなくても…」
「無事だと分かったし、今はいいや…
起こしちまうのも悪いしな」
俺は何とか作り笑いを浮かべた。
本当は
龍崎 琢磨が朔羅の手に触れるのもイヤだ。
けれど
あんな光景―――……あんな表情で朔羅を見つめていたら
さすがに何も言えない。
俺は
俺には朔羅との未来が待っている。
この先何十年と。望めば一緒にいられる。
けれど龍崎 琢磨は――――……
考えて少しだけ気分が暗くなった。
同じように廊下のベンチで俺よりも暗~い影を背負っていた一ノ瀬。
あ、そうだった。こいつのこと忘れてたぜ。



