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** 戒Side **




俺たちが御園医院に到着してロビーの総合受付に走っていくと


めずらしく受付に変態ドクターの姿があった。


白衣姿で、受付の看護師に何かを説明している最中だった。看護師はドクターの説明に頷いてる。


「おい変態!」


俺は受付カウンターに駆け寄ってカウンター越しに変態ドクターの胸倉を掴むと


ドクターはメガネの奥でびっくりしたように目をまばたき、それでもいつもと変わらない調子でメガネのブリッジを直し


「もはやドクターとも呼ばれないこの扱い…」


とちょっと悲しげに目を伏せた。





「ごちゃごちゃうっせぇんだよ!!!


朔羅は!あいつどうなったんだ!!無事なんか!!」





聞きたいことはたくさんあったけれど、あれこれ主語をすっ飛ばし、俺が勢い込むと






「落ち着いてください。


お嬢さんは大丈夫ですよ。ただの





日射病です」







ドクターは「ふふっ」といつも通りの笑みを浮かべて軽く手を挙げ、


そこではじめて俺は自分の手から力が抜けるのが分かった。



日  射  病    ?


「間違いないんですか?」


響輔が聞くと


「ええ、間違いありません。


日射病です」


ドクターはにこりと笑って襟元を正した。








何だ…



日射病だったんか……