お嬢が――――




倒れた………





お嬢は今検査中で詳細は不明だと言う。


けれど命に別状はないらしい。


俺は慌ただしく衛との電話を切り、保留にしてあったイチとの電話に切り替えた。


「悪い、イチ。緊急事態だ。


お嬢が倒れて御園に運ばれたらしい。俺はそっちに向かうから。


また電話する」


今度の早口はわけもわからない戸惑いじゃなく、緊張からだった。



お嬢が倒れた――――……



「ぇえ!!うさぎちゃんが倒れたの!!?今、衛の病院に!!」


と、まだ近くに居たタイガが俺の肩を掴んで揺さぶる。


「お前まだ居たんかよ!!」


タイガが揺すったせいでスマホが少しだけ耳から離れ






『あんたは……いっつもいっつもそう……





もういい!』







イチの一段と低い声が聞こえてきて、


「……イチ!」


俺が何か言う前に、


プツリ!


通話は突如消えた。









くそっ!





何だってんだよ!!!


どいつもこいつも!







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