だが、


そう呼ばれると、父親だと言われると―――どうしていいのか分からなくなる。


困惑する。


――――戸惑う。


何せ十九年間離れ離れだったのだ。


プップップップ…


タイミング良くキャッチが入った。


俺は一旦耳からスマホを離し、画面を確認すると


着信:衛


になっていて目をまばたいた。


今日会長は午後から御園医院で定期検査を受けていらっしゃる。


今朝会ったときは体調は良さそうだった。顔色も良かったし、いつものように冗談ばかり言っていた。


だが何が起こるのか分からないのが現状だ。


「悪いイチ、衛から連絡が入った。会長に何かあったのかもしれん。少し待ってくれ」


イチはまだ何か言いたげに


『ちょっ…!待っ!』


と何か言っていたが、俺は強引に保留にして衛の電話に繋いだ。


「はい」


そっけなく言って電話に出ると





『龍崎組のお嬢さんが倒れました。こちらに運ばれて今検査中です。


一応、君にもお知らせしておこうかと思って』






衛は俺以上に機械的な口調で淡々と告げた。