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** 戒Side **








さ  く  ら  だ





俺の推理を聞いて目の前で響輔はただ目を開いたまま静止している。


まばたきもせずじっと俺を見据えてきて


カラン…


空になったグラスの中で氷の溶ける音だけが響いた。


「それがほんまならえらいことですよ」


「えらいこっちゃな」


俺もため息。


「でも何もかもわからん時よりは一歩前進や。あとはこのことが誰に知られてるってところやな。


龍崎 琢磨に詰め寄ったって大人しい吐くはずないしな、周りから崩して証拠を得るのがええんやけど


そしたら琢磨さんの側近の鴇田か、アヤメさんの恋人のドクターか…


まさかあのドクター、アヤメさんの正体知らへんとか…」


「まさか。さすがにそこまでオメデタイ人やないと思いますけど」


「実際、オメデタイやっちゃで。もしそのこと知っとる言うんなら何であの女を恋人にするん?


でも…だからか~


これで納得。俺がアヤメさんのこと苦手やー思うたのも、本能で感じ取ってたんやな」


ふんふん


俺が鼻をひくつかせていると


「まさに野生の勘ですね。


せやけど、恋愛事情なんてさまざまですよ。ドクターはきっと俺たちには分からへんアヤメさんの良さを知ってるんやないですか」


「そぉかぁ?あの二人の仲、なんか嘘くさい言うか……」


解せない何かを飲み込むように俺は顎に手を置いた。


そんなやり取りをしているときだった。


~♪


俺のケータイが鳴り



着信:朔羅



と、なっていて俺は慌てて電話を取った。