「せや。目的や。


あいつらが手ぇ組むなんて普通思わへんやろ。


裏の裏をかかれたっちゅうわけや。


スネークどころか、俺たちまで騙しやがって。



でもこれで全ての辻褄が合う。



御園医院で最初の狙撃に遭うたとき。オピウムの香りが香ってきた。


あのとき確かに現場にはアヤメさんが居ったっちゅうことや」


俺の説明を聞きながら響輔は眉間に手を置き、引きつったような目を伏せる。


「彼女は狙撃手やなくて、自分の職務をまっとうしただけやったと……?」


「せや。


そして次に俺たちが賽銭泥棒の濡れ衣着せられてパクられたとき。


思い出してみぃ。


あんとき警察官のあとにデカの取調べがあったけど、そのデカも何故か途中で聴取をやめた。


そしてムショを出てすぐにデカに尾行された」


響輔は眉間から手を退けて、露になった表情に困惑の色を浮かべていた。


あのときの状況を思い出しているんだろう。





「あんとき、たった一言でそれを黙らせたんは





龍崎 琢磨やった。





あのデカの聴取と覆面パトの追跡をやめさせたんは






タチバナや





あいつら裏で繋がってたんや。







間違いないで」







―――龍崎 琢磨



なんちゅう相手とつるんでんねん。自分で自分の首絞める真似しやがって。


危険極まりないで。


相手を考えろや。





俺は心の中で毒付いたが、高校生だったらそれもあるかと改めた。


将来の職業やなんて誰も分からへんしな。






そう



実際俺たちだってこの状況で明日を無事迎えられるかも分からないのだ。




未来は―――



もっと分からない。







―――誰にも




    分からない









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