そのときの状況を思い出しているのだろうか、響輔は一瞬……ほんの一瞬だけ苦い表情をして腕を組んだまま今度は眉間を指の先で掻く。
それでも俺の推理に耳を傾けているようで、目を上げて先を促した。
「極め付けに『昨夜は雨が降っていたから』と言う発言だ。
雨は夜中に降り出した。普通だったら家で寝てる時間帯だぜ?」
確認する意味で響輔に聞くと、こいつは同意しての意味か再び大きく頷き、
「まぁ夜遊びしてる可能性もありますが。
そもそも雨に打たれたぐらいで風邪なんてひきませんよ。普通の人間ならね。ましてや季節は真夏だ。
でも
あの晩は龍崎組に帰り着くまでかなりの距離があった。バイクで帰っても一時間ちょっと」
少しだけ視線を険しくさせ俺を見据え返してくる。
「お前の熱の原因が前の晩の雨だと知ってるのは
―――お前とイチがカーチェイスをしたことを知ってる俺と朔羅、
そして当事者のイチと、あの女に通じている
スネークだけだ」



