憎き白虎の三男坊と結婚なんて天国の親父と母さんが知ったらどう思うかな。


まぁでも…


それは戒自身が忌むべき存在じゃなく、その制度自体が問題なんだよな。


あいつが敵の白虎じゃなかったら―――


あたしたちはきっと





出会わなかった。





そう思うと古くからのその制度や規律があたしたちを結びつけたんだ。


敵同士にあるにも関わらず同盟を結ぶことであたしたちは結ばれた。


戒は白虎の名前を捨ててまで、あたしと一緒になることを選んでくれた―――


嬉しいはずなのに、それを思うと何故か心がズキリと痛む。


あの龍神社で見た―――


あの青龍と朱雀の像は―――互いに互いを求めているにも関わらず





決して交わることのない立場。


悲しすぎる現実。






四つの神獣が守る極道界に―――それは意味があるものなのか。




ふと疑問に思ってあたしは何となく空を見上げた。


頭上にはさっき街中のスクランブル交差点で見上げた…あの雲ひとつない晴天が広がっていて、そのまぶしいほどの光があたしを照らし出す。





―――来ませ




誰かに呼ばれた気がした。


でも誰の声か分からない。


ただサンサンと輝く太陽の光を見据えながら、あたしは微動だにできずにいた。








――――来ませ、我が君






誰かがあたしを呼んでる。


誰…?あたしを呼ぶのは……






―――来ませ、






   黄   龍









―――………!