一ノ瀬家を出て、千里は胸元を押さえ肩で息をしながらぜぇぜぇ。


「いつボロが出るか分からん。俺、怖くて親父の目を直視できなかった」


「あたしも」


二人してガクリと肩を落とした。


幼馴染の親父さんだし、小さい頃から知ってる。


今さら気を遣うような関係でもないし。


なのに何でかすっげぇ疲れた。


結局、口実だけかと思いきや千里はあたしを送ってくれるみたいだ。


「いいよ。まだ早いし」


彼氏でもないのに、と言う言葉は仕舞いこんだが。


「俺が送っていきたいんだよ」


千里―――……


「てか送らせて!俺一人であの家に戻るの無理!」


何だよ、そう言うことか。


千里の家からあたしんちまでゆっくり歩いて十分ってところだ。


往復二十分は掛かるけど、たったの二十分だ。


二十分後は家に帰らなきゃいけないのに、よっぽどあの場に居るのが心苦しかったのだろう。


「なぁ…おっちゃんとおばちゃんてさ、恋愛結婚なの?」


そう言えばあたしそこんとこ良く知らなかったや。


まぁ他人の家の結婚事情なんて早々知ることなんてないけどな。


「まぁ一応?恋愛結婚なんかな。


何か親父がまだ機動隊に居るときに合コンで知り合ったのがおかんだったとか」


はぁ~合コンかぁ。何か意外。


「警察ってのは圧倒的に女が少ないんだとよ。んで出会いが無いから合コンばっか開いてるらしいぜ?」


千里は苦笑い。


何かリアルだな。


ま、考えてみればうちの両親だって半分見合い、半分政略結婚みたいなもんだしな。


結果的に仲良くしてたから何も問題ないし。


そう言えば…




自分自身も戒と政略結婚じゃねぇか!!