おっちゃんの話しぶりからすると、その“元かぞく”のお姫様と財閥のおぼっちゃんが手を組んで、何かを隠しているみたいだけど。
「遺体からはヤクが検出されてるんだ。絶対、畑中組と繋がってるってのに」
おっちゃんは苛立ったようにビールの缶に口を付け
「俺たち下のもんは蚊帳の外だ。事実を知ってるのは上だけだ。
一体
何を隠しているんだ―――」
おっちゃんは深いため息を吐いて目を伏せたが、突然
「それより母ちゃんはどうした?」
仕事で休暇を取らされて落ち込んでたから、すっかり忘れてたけど急にその話題を持ち出されてあたしたちは
ギクギクぅ!!
千里と二人で肩をびくつかせて思わず顔を見合わせちまった。
「か、買い物だってよ!主婦友達と」
千里が慌てて言い訳して
「買い物ぉ?ったく、亭主が捜査の前線で戦ってるてのにいい気なもんだよ」
おっちゃんは苦笑い。
それに関しては怒ってるようでないし、あたしたちの嘘にまるで疑った様子もない。
あたしたちは揃って「ほっ!」と胸を撫で下ろし、
「ところで買い物ってどこに行ってんだ?」
と、おっちゃんはまたも聞いてきて、その目に刑事の鋭い光がきらりと光った…ように見えた。
あたしたちはまたもギクっ!!
「さ、さぁ…銀座とかじゃね?」
と千里が適当過ぎることを言い「何で気にするんだよ」とちょっと目を上げた。
「いや。どっかで靴買ってきてもらいてぇな、って思ってさ。もうボロボロだしな。
でも銀座だったら高けぇしな、そんな洒落たもんじゃなくていいから一足五千円ぐらいで。
一課のボンボンなんてこれまた高そうなアルマーニだか、フェラガモだとか、横文字のブランドの革靴履きやがってよぉ。
嫌味ったらしんだよ、ちくしょうめ」
と、おっちゃんはまたその財閥のボンボンのことを愚痴りだした。
「分かったよ、じゃぁ母さんに伝えておくから。
俺、ちょっと朔羅を送ってく」
千里はおっちゃんの愚痴を途中で遮ってあたしの背中をぐいと押した。
千里…あたしを口実に逃げたな。



