結局…
あたしは千里が心配で一ノ瀬家までついてきちまった。
「何か悪いな……」
千里はげっそり。
あたしもげっそり。
「気にしないで。聞いちまったからには家庭崩壊を目の前にして知らんぷりできねぇし」
離婚なんてどこか他人事のように思ってた。
だって、今はもう二人とも居ないけどあたしの両親も仲むつまじかったし、戒んとこもキョウスケんとこもラブラブ過ぎるぐらい夫婦仲は良い。
リコのパパとママも平穏だしなぁ。
ついでにこれから結婚するって言う鴇田&キリさんカップルも何だかんだでお似合いだし。
結婚したら一生離れないものだと思ってた。
だって結婚式のとき神様に永遠の愛を誓うんだぜ??
それが二十年近くも経つと、それまで連れ添ったパートナーをあっさり切り捨てて新しいパートナーに走る??
永遠の愛って何だよ。
あの神さまに誓った愛は何だったんだよ。
―――
―…
「ただいまー…、あ。親父帰ってるみたいだ」
一ノ瀬家の玄関でおっちゃんの履き古した革靴を見て千里が口を開いた。
おっちゃんの革靴は以前は黒色だったろうに、すっかりくたびれてすりきれてあちこち灰色にくすんでいた。
刑事のおっちゃんが一生懸命働いて千里やおばちゃんを支えてるってのに…おばちゃんも何を考えてるんだろうなー…
大人の考えが分からなくて「む゛ー」と首を捻りながら、久しぶりに一ノ瀬家に上がる。
「おー…おかえりぃ。俺の方が早かったみてぇだな。
お、朔羅もか~?
何だお前らデートかぁ?」
千里のおっちゃんは仕事帰りのこれまたくたびれたスーツ姿のままでダイニングチェアに腰掛け、缶を握りながらにやにや。
いつも叔父貴や鴇田で見慣れてる筈のワイシャツはいつでもパリっとノリが利いていてスーツ萌え……じゃなくて!
とにかくスーツってそうゆうビシっとしたものだと思ってたのに、おっちゃんのワイシャツは皺が寄っていてよれよれ。無精髭も生えてるし
その顔で昼間だってのに、ビールを飲んでいて
すっかりすさんでいるように見えた。
不良刑事だ。
これは……
離婚の可能性大!!?



